エストレージャ・モレンテ、カンタオーラ.インタビュー
「目指している自分には近づいてさえいない」
シルビア・カラード.マドリッド、2005年10月
エストレージャ・モレンテ、歩み続ける為に時の旅を再開。前世紀のグラナダで行われた今や伝説のカンテホンド・コンクールで、ラ・ニーニャ・デ・ロス・ペイネスを訪ねる。“エストレージャ1922”がその訪問を呼び起こした結果。この作品、「これまでの自分の経歴の終止符」だと言う。このスペクタクルから伝統と現代を跨った三枚目のソロアルバムが生まれる予定となっている。リリース予定の来年春までは彼女がゲスト参加しているアルバム“モレンテ・スエニャ・ラ・アランブラ”を聴いて過ごすしかない。この作品でナザレプリンセスに変身しているエストレージャは夢を見ている...彼女の歌声が夢にも見なかった最高の場所で。
エストレージャ・モレンテ
(写真: Daniel Muñoz) |
|
| |
|
待ち遠しい三枚目のソロアルバムのリリース予定は?
このアルバムのリリースに関しては一枚目と同じ状況...レコーディングするための時がなかなか見つからなくって...
私の父、エンリケ・モレンテの指示で取り組みたいんだけど、二人とも都合が悪いから... この期間、私も“エストレージャ1922”みたいなスペクタクルに取り組んできたしね。長いこと、評価したり、理解できる為に必要な計算に専念してきたんだ。そういった仕事も必要だからね、気が狂わないようにするには。新しいアルバムは早くリリースしたい、ファンだけじゃなくて、ただ新しい作品を聴きたいっていう人にもしょっちゅう聞かれるからね。立ち止まることは出来ない。常にレベルを保ち続け、有能であり続けなければいけないから。
リリース日の期限は決めていますか?
来年の春ごろにリリースしたいと思ってる。子供の世話にほとんどの時間を掛けてきたから...
冗談に聞こえるかもしれないけど本当の話しなんだ。どれくらい掛かるかって?少なくとも6ヶ月。もう少し早くリリースできるかもしれないけど、仕事に取り組むための力次第ね。
テアトロ・エスパニョールで発表するこのスペクタクルがソロアルバムの起源?
もちろん、このスペクタクルは私のカンテだし、これまでの私の経歴を纏めた作品だからね。学んでいったこと、唄ってきたカンテ、自分の歩んできた道...そういったこと全てを纏めた“結論”と言える作品。これがその結果、今までの。このプロジェクトから新しいアイデア、コラボレーション、違った唄い方などが必ず生まれることになるだろうね。
伝統的なレパートリーの他にも、ライブでは新しいテーマを披露していますが、アルバムもそういった作品になるんでしょうか?
もちろん。そうしないと厭きちゃうからね。伝統的なカンテだからって必ずしもつまらない単調なカンテだってわけじゃない。面白いテーマに出来る可能性はもちろんある。コラボレーションを通じて現代化させるためのアイデアを得ることが出来たりもするしね。もちろん自然な近代の解釈が基本。モダンなテーマにしようってことだけが気になってるのは間違い、結果は絶対良くない。自然に影響を解釈して取り入れれば、面白い結果が得られるかもしれない。無理しないこと、それが大切だと思う。
パストーラ・ガルバンは常に貴方を照らす光ですね...
彼女じゃなかったら誰が?
2005年のカンタオーラがラ・ニーニャ・デ・ロス・ペイネスから学べることとは?
彼女の時代から2005年まで...2005年から未来へ向けて。ラ・ニーニャ・デ・ロス・ペイネスのようなアルティスタの作品が終わることもなければ、影響を及ぼさなくなるようなこともないはず。どんな創作者の心にも、芸術的知能にも必ず浸透する。絶対不可能。彼女のレコーディングされた作品は壮大、失ってしまうのは寂しい出来事ね。

エストレージャ・モレンテ
(写真: Daniel Muñoz)
彼女のカンテを分析したりしますか?
分析したりはしない。家にいるときに聴くだけ。アレハンドロ・サンスとかラ・バルベリーア・デル・スールとかフランク・シナトラ、ボブ・マーレーやパストーラを聴くのと同じように聴いてる。毎朝ラジオをつける度に音楽を分析するようなことはしない。好きだから聴くんだからね。そうやってちょこちょこいろんな音楽聴いてると最終的には面白い影響が受けられるんだ。
| |
エストレージャ・モレンテ
(写真: Daniel Muñoz) |
| |
|
春まで待ち遠しいファンたちは“モレンテ・スニャ・ラ・アランブラ”で貴方のカンテを楽しめます。アラブ浴場で歌った感想は?
ラ・アランブラの浴場で唄うのはいつも私が夢見ていたこと。幅広い大きな唄声が出る場所...ラ・アランブラの音響の質の高さはどこで聴いたこともない素晴らしいもの。はね返る音の響きは魂を満たしてくれた。
エンリケ・モレンテは貴方の歌声について、鳥の歌声に一番似ている響きの歌声だと言っていました。このアルバムではふるえ声でさえ唄っていますね...
(笑) ハイジの鳥、ピチみたいにね。ユーモアが感じられるとっても楽しい経験だったよ。しかも裏声で唄うことを学んだ!!私にとっては新しいテクニック。
“ミ・カンテ・イ・ウン・ポエーマ”から現在のテアトロ・エスパニョールでの公演までの間に成し遂げていった貴方の芸術的進歩について語ってください。
テアトロ・エスパニョールが私のカンテを4日も続けてプログラムしてくれる理由は私には分からない...
私にとっては最高の出来事、これだけの名を誇る劇場が自然なかたちで信頼してくれてる証拠だからね。あのアルバムから今まで...目指している自分の影にさえ似ていないっていうのにこれだけの認識を得られるなんて...とっても満足してる。
そんなに厳しいんですか、自分に対して?
そう考えないのはあまり自分として“健康”な考え方ではないと思う。自分は誰でもないんだって考えてる方がいいからね。
flamencojapan@flamenco-world.com