"“エル・ロコ”はある男とバイレとの恋愛ストリー...  僕が一生働き続けてるコンセプト。”


ハビエル・ラトーレ、バイラオール/振付師.インタビュー

「フラメンコでは何をやってでも成功できるから、創作者達自ら、努力が不十分な状態でも満足してしまう」

シルビア・カラド.セビージャ、2004年10月


ハビエル・ラトーレの創作力はけた違い。同じシーズンの間にスペイン国立バレー団の為に“エル・ロコ”の振付けを担当し、バイレミュージカルの“ロス・タラントス”を創作、そして彼自身の舞踊団の為に“トリアーナ、エン・エル・ノンブレ・デ・ラ・ロサ”を仕上げた。新作に出会うのは長期間ごとというのが普通のこの世界で、彼は、「目くらの世界に生まれた片目の人間」  だという。三年前にマニフェストを公にしてから、フラメンコシーンが変わった様子は無い... 変わっていないだけではなく、「数年前の方が面白いことをやっていた人」  がいたり、レフェレンスを失っている新世代に出会ったりしている。彼の舞踊団のここ2年間におよぶ活動を振り返るなか、ハビエル・ラトーレ、ジャン・コクトーの“ル・エンファン・テレブル” の振り付けをパリで、そしてイギリスでは映画の振り付けを担当する予定であるなど、新しいプロジェクトにも視線を向けている。 


Javier Latorre
 
   
このシーズンはとても豊富な一年となりました。“エル・ロコ”、“ロス・タラントス”と“トリアーナ、エン・エル・ノンブレ・デ・ラ・ロサ”の3作。

コンセプト、人数、予算、といった面からしても、3作ともそれぞれ全く違った作品だけど、魅力は対等。4月から6月の間に“トリアーナ”、7月から9月までは“ロス・タラントス”の創作に取り掛かろうという予定だったんだけど、4月の始めに、当時スペイン国立バレー団(BNE)の監督だったエルビラ・アンドレス  -今現在はまたホセ・アントニオ- から電話がきて、“エル・ロコ”の構成を頼まれたんだ。断れない依頼だね。大変な一年だった、4月から7月までの間、月曜から金曜まではマドリッドで“エル・ロコ”の構成、土日はコルドバで“トリアーナ”の構成に専念してたからね。結構大変だったけど、いい年だったよ。

順番にいきましょう。“エル・ロコ”はどういった作品だと言えるんでしょうか?


“エル・ロコ”は今年最初に取り掛かった作品。モンテカルロのロシアバレーで働いていたディアジレフ、マッシーネ、タマラ・カルサビナとかと知り合いだった前世紀初期のセビージャ出身のバイラオールフェリックス・エルナンデス・ガルシアのストーリー。セビージャのカフェ・ノベダデスでフェリックスの踊りを見た彼等、とても強い印象を受けたんだ、特に彼のファルーカにね。“エル・ソンブレロ・デ・トレス・ピコス”の創作にかかっていたディアジレフがフェリックスをロンドンに連れて行ったんだ。ストリーはそこまで語らないけど、フェリックスは多分、エル・モリネーロを演じるつもりでいたんだ。だから、マッシーネがエル・モリネロを演じることになっているのを知った彼は、ロンドン市内をトラファルガル・スクエアまで走って行って、サン・マルティン・イン・ザ・フィールズ教会に駆け込んだんだ。教会の中に入った彼、“ファルーカ・デル・モリネーロ”を祭壇に上って疲れ果てるまで踊り続けたんだ。捕まえられた後は強制的に入院させられて、エプソンの精神病院で27年後に死んだのさ。

“エル・ロコ”はある男とバイレとの恋愛ストリー... 僕が一生働き続けてるコンセプト。彼と同じ最後はお断りだけどね。自分が主人公でなければとても美しいストーリーだね。信じられない仕事だった。今年は仕事仲間とマスターコースを成し遂げたような感じだよ。監督のマスターコースをものすごい働き者のパコ・ロペスと、そして、ミュージシャンと踊り手達とは同感力を養った。作曲担当はマウリシオ・ソテロ、カニサーレス、そしてもちろんマヌエル・デ・ファジャ。舞台装飾と衣装を担当したのはすばらしいプロフェッショナルのへスス・ルイス。BNEの踊り手達のすばらしい専心さは待っていなかった。作品に参加した全員が創作者の僕等と同じ気持ちを分かち合えたからすごく楽しめたね。

作品の規模の大きさからして、貴方が今まで取り組んだプロジェクトの中で一番大切な挑戦ではなかったんでしょうか?


分からないけど、パエリアのように見えるんだな。パエリアを食べてるときに誰かに3ヶ月前に食べたパエリアの方がうまかったって言われても、その時食べたパエリアの味なんてとっくに忘れてる。僕にとっては全ての作品がとても大切なものだから、最初の一作のように専念するね。技術的な難度や、ストーリを語るっていう面からしてみれば...  そうだね、“エル・ロコ”を語るのはとても難しかった。だけど、違った面からして見れば、“ロス・タラントス”で、アナ・サラサル以外、それまで誰も舞台に上がって唄ったり踊ったりしたことの無かった19人の踊り手達と働いた経験は奇蹟的だったと思う。“エル・ロコ”の価値は違ったこと。気違いの目から見たこの規模のストリーを語る、しかも観客に理解できるように語る、つまり、観客の気が、ステージの人物同様、狂うようにするという事。さらに、BNEのイメージを変えるという難しい挑戦にも挑んだんだ。

 
   
芸術的な面からして、“ロス・タラントス” はものすごい挑戦だったんだ。6週間で、初のフラメンコミュージカルを、それまで話したことも唄ったことも無かった人達を使って仕上げたんだからね。皆アナ・サラサルが歌も踊りもうまいのは良く知ってる、しかも、話もうまいんだ。だけど、驚きの発見だったのは、あの映画でカルメン・アマージャが演じた母の役を演じたカルメリージャ・モントージャ。毎日驚きの連続だったよ、役の進化、人物になっていく様子、熱まで出したり、吹き出ものまでできたり、無言状態になったり...  本当にすごかった。“トリアーナ、エン・エル・ノンブレ・デ・ラ・ロサ”は楽しかった。個人的にやりたかった作品で、僕の人生のサウンドトラックを復帰させたんだ。そしてそれぞれ...  僕の二人の娘のうち、どっちの方が好きかなんて聞いちゃ駄目だ!! ムルシアのバレー団の為に創作した“ペネロペ”についてもすばらしいことばかり言える、その前の一作についても、もう一作前についてもね。それぞれ違った挑戦なんだ。

どうやってこんなに違った内容の作品に同時に取り掛かる事ができるんですか?


特に“エル・ロコ”と、“トリアーナ、エン・エル・ノンブレ・デ・ラ・ロサ”に取り組んでいた時は切り替えが大変だったけど、普段は作品の間の仕切りをはっきりとさせるようにしてる。“ロス・タラントス”に取り組み始めた時点では、精神的にも体力的にも疲れた状態だったんだけど、ペーニャのリアクションやエミリオ・エルナンデスの監督作業、チクエロの音楽やトマティートのコラボレーションなど、全員の作品に対する専心を見た瞬間、同じように専念しちゃったんだよ。

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