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スペイン国立バレエ団の裏側に立ったホアキン・グリロ
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ホアキン・グリロ フェステバル デ ヘレス
2001年3月2日
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ホアキン・グリロ
バイオグラフィーと読者からのコメント


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特集:スペイン国立バレエ団の裏側に立ったホアキン・グリロ

ゆっくりじっくり

シルビア・カラド・オリーボ. 於:マドリード、2004年1月
写真:ダニエル・ムニョス

マンサナーレス川の川辺は、いたずらな都市計画や果てしない渋滞の中にありながらも、豊かな土地のように一面に広がる。そしてそこには芸術も根付いているのだ。トレドへの道が横切るこの一帯は、古くはマドリードの畜殺場であったが、畜殺人はバイラオールにとってかわり、スペイン国立バレエ団(BNE)の本部がおかれるようになった。スペイン国立バレエ団の25周年は、作品と共に祝われた。12月の日差しをいっぱいに集めた廊下は、時折、練習着を身を包んだ、すらりとした男女であふれる。しかしそれもつかの間。あたりは閑散とし、やがて活気はスタジオの扉から伝わってくる。2004年1月23日のサンタンデールでの初演を前に、その活気は一段と激しさを増す。スペイン国立バレエ団の最後の追い込み。新作のタイトルは、 ホアキン・グリロ 振付けの『ティエンポ(時間)』と、エルビラ・アンドレス振付けの『コローレス(色)』。一枚の壁と、様々な色のグラデーションが両者を隔てる。


BNEと『ティエンポ』をリハーサル中のホアキン・グリロ

ホアキン・グリロ、時計と共に

ヘレス出身のバイラオールは、大きな期待と責任を胸に、自身にとっても初めてとなるBNEへの振付けに取り組んだ。彼にとっては一瞬一瞬が貴重な瞬間だ。彼の指導下にある踊り手達の身体に、一瞬の隙も与えない。「頭を上げる!」「伸びる!」「やさしくやさしく。ギターの音色に合わせてもっと柔らかく動いて」「しっっっっっっ!」。団員達を導きながら、そして一人一人の動きを形作りながら、ホアキン・グリロは、練習場の端から端まで駆け抜ける。このソレア・ポル・ブレリアスがひとたび形になると、次の彼の仕事は、抑制、細部への気配りとダイナミクスにあった。神経質で細部にもこだわる彼は、全てを完璧なまでに観察する。音響担当者は幾度となく音楽を止め、同じファルセータを何度も何度も繰り返さねばならない。彼はまた、自分とそっくり同じ感情を、彼らが感じることはないことを理解している。感情は教え、教えられるものではない。

数年来、 パコ・デ・ルシア, のグループのメンバーだった彼のこの作品は、コルドバのギタリスト、 ホセ・アントニオ・ロドリゲス. の音楽に振付けされた。二人に共通のキーワードは、『ティエンポ』だ。「この作品に音楽をつけてもらうように彼に依頼して、二人で考えを具体化したら、彼はすぐに作曲に取りかかってくれました。彼の働きぶりはもう周知ですよね。その後セビージャで、デモテープを聴いたとき、不思議と私自身がイメージしていたものと音楽が見事に一致していたんです。ソレア・ポル・ブレリアス、ファンダンゴス、タンゴスのリズムはとても気に入りました。そのときにはもう、作品のタイトルは決めていて、歌詞も『ティエンポ(時)』に関する内容でした。彼とは、ほんの一部に手を加えるためにーーー手を加える” なんて言い方をしてもいいとしたらですがーーーもう一度話をしました。といっても私が必要だったほんの細かなことだけです。私はもう、大満足でしたね。その後は二人でファンダンゴに取り組みました。シエレ(締め)の部分とあとわずかな箇所だけ。彼は完成した音楽を渡してくれました」

既に出来上がった音楽を抱え、ホアキン・グリロはバイレを仕上げるために集中した。「ヘレスにいたら何もいいアイデアが出てこなかったんで、妻と二人で2週間、ボローニャへ出かけました。そこで、ようやく彼が音楽で表現したかったことを自分なりに解釈していくことができました。表現することと、それを理解することは別のことですから。それぞれが、違う感情をもっているので、時には、彼の感じるニュアンスを、私がはっきり感じ取れないこともある。いざ実践する段になってこうしたことに気づくのは、踊り手と作曲家の間ではよくあることです。」11月中旬。全員がマドリードに集合した。試みはいい結果を生んだ。「バレエ団のみんなは、本当によく反応してくれました。やる気も十分に感じ取れました。」一ヶ月が過ぎ、「ようやくハレオとソレア・ポル・ブレリアスで、作品の10分~12分の部分の形が出来上がりました。残ったのは、一番難しい部分です。最後の締め、レマーテです。ファンダンゴはまだ未完成でしたが、アウトラインは出来上がっていました。これがこの作品の制作における、おおまかな流れです。


BNEと『ティエンポ』をリハーサル中のホアキン・グリロ

バイラオールであり、振付け師である彼は、「時間(ティエンポ)に関する色んなことを理解しようを努めました。哲学と物理と数学に関する難しい本を買って、それを読みながら頭を悩ませました。そこでは、歴史上、偉大な思想家達の時間に関するすばらしい考察が紹介されていました。非常に論理的なことなのに、それを読むまで気づかないようなことばかりです。例えば次のようなことがあります。誰もが時間とは何かを知っているが、時間とは何かと聞かれると、それを正確に説明することができない。全て相対的な説明になってしまう。確かに、時間と共に常に何かが起こっているし、そうでなければ時間そのものが存在しなくなってしまう。そして時は、自分が何かをする時点に応じて、過去の時間、現在の時間、未来の時間となる。それこそが音楽の中に存在するものです。ある音は少し遅れたり、ぴったりだったり、少し先取りしていたりします。踊ったり、演奏したりしながらこの作品に携わる私たち一人一人がそのことをある特別な方法で、私が理解するのと同じ方法で理解する。それは難しいことなのですが。」

この理解がスムーズにいくのを目的に、ブラジル人のパーカッショニスト、ルベン・ダンタスを作品での演奏に迎え入れた。バレエ団に所属するミュージシャンと共に、コルドバのギタリストが作曲した音楽を演奏することになる。「彼の協力は、私にとって不可欠でした。私の思い描く演奏を実践してくれますから。時々彼からは、他のパーカッショにストにはない空間のようなものを感じます。良い、悪いの問題ではなくで、他のパーカッショニストとは異なるということです。BNEの団員達は、一生懸命やっていますし、できる限りの方法で実践しようと努力しています。が、それでもまだ何か足りないものがある。ティエンポ(テンポ)が流れるために、もっと重みを持つために、そして弱まらないように維持するために。作品全体の脈というか。そう、それです。脈です」。

続く

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